
時々「うちの子はごはんを食べる時に全く噛まずに丸のみしてしまうんです」という相談を受ける事があります。
人間はひと口につき30回噛む事、よく噛んで食べる事を推奨しています。なので飼い主さんからしてみれば「よく噛んで食べる=いい事」と思ってる様ですがそれは人間のお話で、愛犬にそれを望むのは少し無理があります。犬は基本的にあまり物を噛んで食べるように体がなっていないんです。
犬は基本ドッグフードは丸飲み!
犬の食事方法は基本丸飲みです。人間は口に入れた食べ物を歯で噛んですりつぶしたり、粉砕したりという消化を助けるための咀嚼(そしゃく)を行っています。犬は丸飲みできない大きさの物、固い物を食べる時にのみ込みやすい大きさになるまで噛む程度。歯ですりつぶしたり、粉砕するという行動はほとんどありません。犬の食事方法は人間とは根本的に違うといってもいいでしょう。犬にとってはごく普通のこの行為は丸飲みる生き物という事を理解していない飼い主さんにとってはとても心配なようですが。しかし、丸飲みが犬にとってごく普通の事なのです。
小型犬には超小粒、大型犬には大粒?
日本はとてもユニークな国で携帯がガラパゴス化しているなどと言われていましたが、ドッグフードにもその言葉が当てはまるといってもいいでしょう。小型犬用、大型犬用、○○犬専用、パピー、アダルト、シニア、ダイエトなどフードのカテゴリーの多さも海外から見るととても多岐にわたり、不思議なようです。しかもここ数年で、粒の大きさも色々と出てくるようになりました。それに伴って「小型犬なので超小粒のフードでないと」というのを時々聞きますが、絶対にそうでないといけないという事はありません。小型犬が超小粒でないと飲み込めないというのはウソです。小型犬でも大好きなオヤツを大きなまま丸飲みしてヒヤリとしたという経験はありませんか?「他の誰にもとられたくない」という程大好きな物を大きなまま丸飲みできる力があるのに、ドッグフードは超小粒しか食べられないという発想はイメージの問題なのです。
丸飲みは体に悪い?
こういた話をしても丸飲みは体に悪い信じてしまっている飼い主さんもいます。丸飲みして早食いすると時々吐き戻してしまう犬がいます。飼い主さんは「吐いた」と思われるかもしれませんが、そういった時の多くが嘔吐というよりは「吐き出し」という感じに近いと思われます。胃に達する前の食道に詰まったものを吐き出す行為で未消化ものが多く、その未消化の食べ物と白い泡が一緒に出てくる場合が多いです。嘔吐でよくみられるような黄色い液体ではない場合は吐き出しの可能性が高く「飲み込めない程の大きさなのに飲み込もうとした」「急いで食べ過ぎた」という事が原因です。犬は子育ての際に食べた物を吐いて仔犬に食べさせるという行動があります。吐き戻した食べ物は離乳食となっています。意図的に吐くことも可能な犬達は吐きやすい生き物とも言われています。
私達人間にとって嘔吐はとても辛く不快なものなのです。犬と違って吐き出しという行為を人間は行いませんのできちんと理解できていないと慌ててしまいますよね。 それでも心配な飼い主さん達へ丸飲みさせないように、きちんと噛んでくれる犬に育てるのは無理があるとご説明しましたが、それでも心配な方もいるかと思います。きちんと咀嚼させるのが無理でもゆっくり食べさせるという事は出来ます。お皿を普通の物から皿の中に突起があり、一気に大量のフードが食べられないように作ってある早食い防止の食器を使うのも一つの方法ではあります。少し噛んで欲しいと思うような食べ物の場合、手からあげる時に前歯で何回か噛ませてからあげるといつもより噛む回数が増えます。あくまで増えるだけ!人間でよく言われるようにお粥状になるまで噛んでくれる事は無いと思って下さいね。
よく噛んで食べるのはちょっと問題かも!?
小型犬の飼い主さんの中には「うちの子はよく噛んで食べるんです」と言われる方もいらっしゃいます。実はそれ、少し注意が必要なサインかもしれません。 最初にご説明したように、基本丸飲みな犬達。大好物は特にあっという間に飲み込む傾向があります。「大好物はあっという間に飲み込む」という所がポイントです。そんなに大きな食べ物でも、かたい食べ物でもないのによく噛んで食べる場合はこんな事が隠れている可能性があります。
次の項目に愛犬は当てはまりませんか?
1.歯や口の中にトラブルを抱えている。
2.あまり乗り気じゃない食べものをしぶしぶ食べている。
3.食べる事に集中できない環境。
4.遊び食い。
1.の歯や口の中にトラブルを抱えているというのに心当たりがある様であればかかりつけの病院と要相談です。それ以外の場合で、うちの子はよく噛んで食べるという飼い主さんの中に「ごはんをきちんと食べない」「食が細い」「好き嫌いがある」「食べムラがある」というごはんをきれいに完食しないという悩みがある場合が高確率で潜んでいます。 そういった犬達はフードそのものの問題というよりは心の問題が大きいのでフードをコロコロ変えるというよりはなぜそんな不自然な食べ方になってしまったのかを考える必要があるかもしれません。